知 事 答 弁

 最初に、あえてこれは三たびのご質問にはありませんでしたが、雇用対策というのは我々
も非常に頑張ってはいるのですけれども、もどかしさを感じるのであります。といいますのは、
失業者の方が発生したときに、例えば行政がおおらかに全部雇いましょうと、こういうわけ
にはいかないわけです。どんどん仕事を出せばいいじゃないかと。例えば建設業の皆さん
に仕事が回るように出せばいいじゃないかと。これは従来そういうことをやっていた時期も
ありますけれども、それはもう県の財政がとてもついていかないということ。

 何ゆえに特定の業種だけそういう仕事を出すのか。一般の商店街でも物が売れなくて困っ
ているときに、そういうことはやっていないでしょうと。これは当然、当たり前の話なのであり
ますけれども、そういうことがあるので、いずれにしても限界があるということであります。

 行政がやりますのは、やはりハローワークが中心になった雇用の流動化、ミスマッチを
解消する、失業者が発生した業種の分野から人が足らないところに円滑に移行するように、
情報提供とかあっせんとか、研修とか訓練とか、そういうことをやるというのが行政の仕事
なのであります。

 それに加えて県の場合は、あえてニューディール政策というものをやっておりまして、特定
の財源を用いて県自身も必要な分野にあえて人を増員するということをやっております。そ
れは福祉の分野であったり教育の分野であったりするわけでありますけれども。警察なども
そうですけれども。

 別途、ここがメーンになるわけですが、県内の民間企業で、これもあえて雇用を創出する、
拡大するという場合には、一定の条件のもとに一定の給付金を出して、それを支援すると
いうこういうことをやっているわけで、行政のやる雇用対策というのは、どうしても間接的な
施策にならざるを得ない。直接の分野というのはどうしても限界があるということはご理解
をいただきたいと思うのです。

 職を失われた方がいっぱいおられるのに、行政は全然何もしていないのではないかと言
われましても、やっぱりそういう限界があるということは御認識をいただきたい。打ち出の小
づちで県に幾らでもお金があるのであれば、何とでもできるのでありますけれども、そうでは
ありませんので、限界というものをご理解をいただきたいと思います。


 国際交流で地域間の交流、いろいろ活発になったけれども、行政の交流のあり方をいま
一度見直すべきではないかということでありますが、これも私、ちょっと誤解をしているかも
しれませんが、今はそんなに行政だけが中心になって、主流でやっているのではないと思
うのです。最初は確かにゼロからの出発でありましたから、行政があれもこれもやって、行
政が声をかけてということをやってきたのですけれども、今となりましては、行政もやってお
りますが、行政と離れたところの団体、県からいいますと県以外の市町村でありますとか民
間の団体、いろんなグループの皆さんの交流が活発になって、むしろ行政は相対的には比
重は下がっているのだろうと思います。

 先ほど安田議員は、役割分担をすべきだとおっしゃられましたが、確かにそういう面があ
ります。役割分担をするという。行政がやらずともいいところは民間にやっていただくという
ことでいいと思うのでありますが、連携はやっぱり必要だろうと思います。一定の場合には
連携というものも必要だろうと思います。従って、役割分担をしながら、必要な場合には連
携もしながらやっていくということだろうと思います。

 具体的にもし県が手がけております国際交流事業で、こうれはもう要らないのではないか、
やらなくていいのではないかというものがあったら、これは全部予算を出しておりますから、
そのときにご指摘をいただければいいと思うのであります。予算は全部満場一致で可決し
ておいていただいて、むだがあるのではないかと言われても、我々もやっぱりちょっと戸惑
うのであります。我々自身がむだだと思うのは削除しておりますけれども、それでもやっぱ
りむだはあるだろうと思います。皆さん方の目から見られたら、そういうものを見ていただく
のが議会の予算審議でありますから、ぜひ一般論ではなくて、これはむだだといって修正し
ていただいても結構でありますから、そうようにお願いしたいと思います。

 国際情勢の進展によっては地域間交流も左右されるのではないか、国家間の関係と地
域間の交流というのは無関係ではないのではないかと。これは当然であります。やっぱり基
本は国と国との外交でありますから、全く外交方針に反して地方団体が準外交的なことをや
るとか、そういうことはやはり慎まなければいけないだろうと私は思っております。やはり大
きな国の外交方針の中で地域間交流というものも行われるのだろうと思います。

 ただ、だからといって、国と全く同じ方針で、少しでも国の考えからはみ出たらいけないか
というと、そんなものではないのだろうと思います。私は、国と国との関係というのは、いろん
なパイプがあった方がいいと思います。多元的な関係が結べた方がいいと思います。国家
間の外交のパイプしかないということになりますと、そのパイプが詰まったり機能不全になっ
た場合には、もう交流、やりとりがなくなってしまうわけであります。そうではなくて、国家間の
パイプもあるけれども、バイパスも幾つかあるということの方が、長い目で見たら健全だろ
うと思います。

 もちろんそれは、政府と全く相反することであってはいけませんけれども、多少の揺らぎを
持ちながら、多元的な関係を結ぶということが地域間交流の意義ではないかと思います。

 私の書きました本を取り上げていただきましたが、「地域間交流が外交を変える」という書
名になっておりますが、これの真意は、今申し上げたようなことに尽きるのでありますが、地
域間の交流というのは国家間の外交関係をいわば下支えするとか、補完するとか、そうい
う意味があると私は思うのであります。そうであるとすると、国家間ではいろんな問題があっ
て、なかなかうまくいかないことが仮にあったとした場合に、細いけれども地域間の交流の
パイプがあって、そこと通じて、例えば地域間で相互の理解と信頼関係が少しずつ醸成さ
れていく、高まっていくというようなことが仮にあるとすると、それが国同士の外交にも少な
からず影響して、国と国との関係が従来よりもよくなるということがあるのではないか。そう
いうことを願いを込めてこういう題名にしたわけで、さしたる他意はないのでありますけれど
も、地域間の地道な細々とした交流であっても、いずれ長い間には国民感情というものを変
えて、外交のパイプに影響を与えるのではないか。また、ぜひそうあってほしいということで
あります。





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